メタバースの過去、現在そして未来のメタバース

User Note

フェイスブックあらため、メタがメタバースに参入するということでメタバースがインターネット界隈で賑わっています。メタバースというキーワードは今にはじまったわけではないことは読者の皆さんもご存じだと思いますが、今一度おさらいをしておきます。

メタバースの言葉の起源

メタバース(Metaverse)という言葉を仮想空間サービスとして使用したのは、SF作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表したサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』の中で登場させました。1990年代はインターネット黎明期に出現した造語でmeta(超越、多元的)universe(巨大空間、宇宙)の組み合わせです。

『スノウ・クラッシュ』は近未来のアメリカを舞台にしており、主人公はゴーグルとイヤホンを装着してメタバースにアクセスし、自分用にカスタマイズされたアバターとしてメタバースのデジタル世界に登場します。メタバースのユーザーに現実世界での脳障害を引き起こすコンピューターウィルスを阻止しようとする主人公を中心に展開する物語です。

ゴーグルを装着というのは、まさしく、今のメタバースでの視覚入力で重要なデバイスです。

このデバイスの究極の形態が映画のマトリックス、アニメの攻殻機動隊、ソードアート・オンラインに繋がります。しかしながらこれらのSF世界で表現される仮想空間への没入は視覚情報のゴーグルだけではなく脳への直接デジタル信号の入出力となります。
このようなSF上の技術はあと半世紀以上の時間を要すると思われます。そのときには量子コンピューターも運用され仮想世界を3Dで表現し、膨大な制御信号も処理されることによりメタバース内での経験はより現実世界の光景に近づきます。
また、脳内の神経回路への直接アクセスできる入出力デバイスが発展し、思考するだけで仮想空間世界に降り立つことが可能と思いますが、これには後百年かかるかもしれません。

過去のメタバースたち

さて、メタバースの初期のサービスとして2003年にリンデンラボ社からリリースされた仮想世界(メタバース)であるSecond Life(セカンドライフ)があります。日本では2007年に空前のブームになり、セカンドライフにIT関連で先端技術の導入に活発で流行に敏感な多くの企業が参入しました。

メタバース内で使用できる仮想通貨リンデンラボは米ドルに換金可能というところも魅力でした。企業は仮想空間内で自社の実在する商品の広告宣伝やマーケティング活動を行うことができるうえに、決済として仮想通貨リンデンラボを使うことができたのです。

日経クロステックの記事で2007年当時の企業の参入目的が記載されています。
「セカンドライフに参加する企業続々、日産自動車からミクシィ、ISIDまで目的はさまざま」― 2007/9 日経クロステック

私も同年にリンデンラボ社から土地を借りて運営していた一人です。また企業とコラボして仮想世界上でイベントを開いたこともありました。
「源氏物語千年紀記念 セカンドライフ:フリー十二単&アバター配布」― 2008/4 Picolix Design
というように大企業からフリーランス、個人に至るまでネット上で大熱狂していたわけですが、ブームは二年ほどで終わり、メタバース内は過疎化状態に陥りました。

なぜ、急速に収束してしまったかというと、ビジネスに使うにはリソースが貧弱でした。1SIMに入れるのは同時100人であまりにも少なすぎて、企業側としては広報として使うにはまったく費用対効果がなかったのです。ただ現在も熱狂的なファンによって存続はしております。

実はグーグルも2008年に仮想世界「Lively」をリリースしています。
「米グーグル、仮想空間サービス参入:「ライブリー(Lively)」― 2008/7 Picolix Design
Livelyはウェブベースの仮想空間です。ユーザーは部屋を設定し、自分のブログ、フェイスブック等に組み込むことができました。しかしながら、このサービスはすぐにひっそりとクローズされ、いまや記憶の残っている方は少ないと思います。グーグルも当時、仮想世界にチャレンジしたのですね。時期が早かったのかもしれません。

当時、私はグーグルがリンデンラボ社を買収してなんとか飛躍してくれないかなと思ったこともありました。

現在のメタバースたち

さて、フェイスブックは2021/10/28にメタバース(Metaverse)に参入しました。社名も「メタバース(Metaverse)」のイメージを強調するためにメタに変更しています。

当然、ドメインはmeta.comです。12/1現在、https://meta.comhttps://about.facebook.com/metaにリダイレクトされています。
meta.comは元々違うところが所有しており、今回の社名変更に伴ってこのmeta.comドメインを取得したものと思われます。どれほどの価値があったかは不明ですが元の所有者に相当な金額が積まれたと想像します。

果たして過去第一世代のメタバースの先陣をきったリンデンラボ社とそれに乗った企業達の失敗を克服してメタバースが返り咲く日は来るのか。ただ、失敗といってもビジネス領域の話です。3Dコンテンツサービスとしては熱狂的ファンがおり、今も存続しています。

フェイスブックはこのような過去の有様も十分承知でフェイスブック・リアリティ・ラボへ開発に向けて大きな投資をするようです。しかしながらCEOザッカーバーグは、今後10年はこのラボは収益を生み出さないだろうと言っています。それほどの覚悟でこの分野に足をいれましたが、今後はどういうサービスがメタ(フェイスブック)からリリースされるのか注目すべきところです。

技術的には第一世代から基本的な部分において何も革新的な進歩はしていないように思います。未だ、あの重そうなVRゴーグルと手で操作する入力デバイスで仮想空間に入りますが、一般ユーザーがこぞって使いたいという衝動にはかられません。

また、2Dディスプレイ上で仮想空間にログインできるサービスもありますが、ユーザーインターフェースはキーボードとマウス操作です。たとえばWEB会議でアバターがその画面に居たとしても所詮コミュニュケーションは、音声が主であり、チャットによる文字でありアバターは副次的なものとなり、仮想空間とは程遠い感じです。

メタ(フェイスブック)以外にディズニーがメタバース参入を準備中です。まだまだ情報が少ないですが、ディズ二―の方が見込みがあるかと思います。ディズニーがこれまでリリースしたなかでバーチャル関連は2018年のディズニー初のVRショートアニメ「Cycles」です。「Cycles」におけるグラフィックはディズニークオリティーですばらしく、物語もその世界に入り込んでいけるような仕掛けとなっており、今後も期待ができます。

仮想空間に入り込んで一度は見てみたいという衝動を起こすようなコンテンツが必要と感じます。

過去に著者自身、セカンドライフ上にアカウントを登録し建築物のオブジェクト作成や各地のSIMを探索し回ったなかで、今でもひとつだけすばらしいと記憶の残っているオブジェクトがあります。これをVRでもう一度メタバースの世界で見てみたいという仮想の建築構造物があります。このコラムで紹介しておきます。
それは、プリンストン大学のSIM(シム、仮想の街)に存在し、2008年にスコープ・クリーバーが制作した建物です。
A most extraordinary building in Second Life ― 2008/6 npirl.blogspot.com
「虹色のオウムガイ」の3Dオブジェクトです。

虹色のオウムガイ

この3Dオブジェクトは残念ながら今はもう現存しておりません。
これにインスパイヤ―されて著者が簡易版を東京情報大学運営のJapan Open Grid (JOGRID)のSIMで作成し、公開しておりますので、興味ある方はopensimのviewerをインストールして訪れて下さい。
opensimはセコンドライフのフリー版です。JOGRIDではopensimulatorサーバが動いており、144のSIMが設置されています。そのなかのひとつでSIM名”Aska X”に設置しています。本家の3Dオブジェクトには及びませんが、貝殻部分は全て計算によって組み立てております。
タイトルは「虹色の貝殻の家」としております。

このようにデジタル世界であれば物理法則、強度無視の建物も計算して作成できることから仮想世界においては現実とは不可能な構造物を構築できます。このあたりは2020年に「アナと雪の女王」を題材としたVR映像作品「Myth: A Frozen Tale」の世界も計算されて構築されていると思われますが、3Dアニメ等の仮想世界には親和性が高いはずです。

メタ(フェイスブック)以外のGAFAはどうしていくのか、アップルはデザイン性を重視したVR関連のデバイスのハード関連を提供していくのか、Googleは再参入を目指すのか、2022年はメタバースの方向性が見える年になりそうです。

日本のメタバースたち

日本では一般社団法人日本メタバース協会が2021/12/7に発足しましたが、ホームページからの抜粋で、「メタバースの中でも人や企業によって経済活動が行われ、人々は自分の分身であるアバターを通して交流することができます。そして土地の売買や貸し借り、さらに建物をつくってライブやオークションなどのイベントを開催することも可能です。つまり、メタバースの中ではリアルの世界と同様に様々なビジネスチャンスがあるのです。」
とうたわれていますが、15年前の第一世代で言われてきたこととなんらかわりません。
「メタバースを支えるブロックチェーンやNFT(Non Fungible Token)の技術」
という暗号資産(仮想通貨)と連携するような記載もあります。この部分は第一世代ではなかった分野ですが、コアなユーザーだけ取り込んでも世間一般のユーザーを取り込めるようにしないと過去の二の舞いとなる危惧があります。

小規模なメタバースも乱立してくる様相を呈してきていますが、日本で期待するのはやはりソニーでしょうか。メタバースはディズニーのようにエンタテインメントの分野で親和性が高く。ソニーも大人気ゲームの『フォートナイト』などもVRメタバースも人気です。

今後5G通信の環境の普及とさらなるPCの性能向上及びVRデバイスの発展でおおいに期待できるところです。

未来のメタバース

前述したように、メタバースのSF上で観察できうる最終形態は『マトリックス』でありアニメ好きならサイバーパンクな『攻殻機動隊』、『ソードアート・オンライン』でしょう。

視覚に対して使用されるユーザーインターフェースはVRゴーグルですが、その他の感覚系は脳への直接インプットとなっています。手足を動かす必要はなく脳内の神経回路の信号のやり取りで完結できることが必要です。最大の難関は脳と機械(デジタル装置)を繋げて処理するブレイン・マシン・インターフェイスの実現です。現在、ブレイン・マシン・インターフェイスのニューロテクノロジーはまだまだ初歩的なものです。

このようなSF風な技術は想像可能ですが、果たして今後技術革新して取得できるものなのか? 多分著者が生きている間には残念ながらお目にかかれないでしょう。しかしながら着実にテクノロジーは前進しているので、将来、その一旦だけでも垣間見ることができることを期待します。

メタバースにおいてサービスを受けるために必要な決済、通貨はどうなるでしょうか、各エンタテインメント単独の通貨なのか仮想の共通通貨なのか、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは2150年ぐらいには総発行量制限の2100万に達します。NFTでよく使われるイーサリアムは発行量の制限はありません。メタバース関連に採用されればビットコインを凌ぐかもしれません。

インフラ関連で通信環境は5Gから6Gへ、NTTドコモは、2030年頃のサービス提供開始を目指しています。5Gの特徴である高速・大容量、低遅延、多数接続を向上させ、さらにテラヘルツ波などの「新たな高周波数帯の開拓」もチャレンジするようですのでメタバースのアクセス環境には申し分ないでしょう。

コンテンツに関してはディズニーやソニーのようなエンタテインメント性のサービスが発展すると思われます。日本のアニメコンテンツのメタバースへの展開、発展に期待したいところです。

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執筆者:苗場 翔様

医療メーカーで新素材研究開発後、電機メーカーで制御器系システム開発を経てIT系マルチエンジニアをしています。またデザイン思考を実践し、アート思考などのいろんな思考方法に興味があります。

Posted by admin-dev


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