分散型SNSの「Bluesky」とは?X(Twitter)の代替えとなるか!
ジャック・ドーシー氏が立ち上げた分散型SNS「Bluesky Social(ブルースカイ)」のβ版が米AppleのApp Storeから2023年2月に公開されました。今まで登録には招待コードが必要でした、2024年2月より招待コードが不要になり話題になっています。
ジャック・ドーシー氏はTwitterの元CEO(最高経営責任者)です。彼はイーロン・マスク氏によるTwitter 買収騒動以前の2019年に分散型オープンプロトコル開発プロジェクト「Bluesky」を立ち上げています。そのプロトコルを実装したソーシャルアプリが「Bluesky Social」と呼ばれるものです。
本記事では、そのソーシャルアプリであるBluesky(ブルースカイ)の最近の動向を紹介します。
最近のTwitterの方向について
Twitterは2006年3月21日にアメリカで公開され、日本では2008年から普及しはじめたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で、Blueskyの同ジャンルと同じです。なぜ、今更あらたなSNSなのでしょうか。
SNSの中でも利用率の高いTwitterですが、コロナ禍でユーザー数急増の一方、収入が減少し赤字運営が続いている中で、昨年イーロン・マスク氏によりTwitterが買収されました。
彼の当初の目標は早急な黒字転換、広告一辺倒の収益構造からの離脱、投稿の自由性を求めてTwitterを買収し改革を進めています。しかしながらここ最近の出来事によりコアなユーザーはTwitterを離れようとしています。
2022/11月のレイオフの実施から始まった後のTwitterの主な改革を上げておきます。
- 2023/1/11 Twitterの有料サービス「Twitter Blue」日本でも開始
- 2023/3/23 Twitter、組織の「ゴールド認証バッジ」開始
- 2023/3/29 TwitterのAPI アップデート
- 2023/3/31 Twitterのコードをオープンソース化
- 2023/4/4 Twitterのロゴアイコン柴犬ドッジに変更
- 2023/4/10 TwitterがX Holdings傘下の「X」という企業と合併していることが判明
- 2023/7/24 TwitterからXへ名称変更
それでは、詳しく見ていきましょう。
・1月11日 Twitterの有料サービス「Twitter Blue」日本でも始まる。
プロフィールに青のチェックマークが付与される。いわゆる青色の認証バッジがつきます。
その他のメリットとして投稿記事のおすすめ欄への優先表示、最大4,000文字までの長文ツイートが可能(ただし折り畳み式)
・3月23日 Twitter、組織の「ゴールド認証バッジ」開始
月1000ドル。関連サブアカウント1つにつき追加50ドル。フォロワー数上位の組織は無償。
メリットとしてツイートするたびに組織とその関連会社へのリーチと配信が増加
・3月29日 TwitterのAPI UPDATE
Free、Basic(月100ドル)に分けられ有料化されました。これによりTwitter連携サービスの終了が相次ことになりました。
これに過去の投稿記事を検索できるtwilogは新規のツイート取得終了となっています。
・3月31日 Twitterのコードをオープンソース化する
オープンソース化に伴ってソースコードが公開され、エイプリルフールには、ソースコード中にイーロン・マスク氏への投稿の追加重みづけのマジック・ナンバーが加味され最重要の投稿になっているなどという冗談も出てきていました。
・4月4日 Twitterのロゴアイコン柴犬ドッジに変更される
柴犬ドッジは仮想通貨「ドージコイン」のシンボルです。イーロン・マスク氏が大量のドージコインを保有していると憶測がありますが、ドッジコインへの誘導ともとれる私物的な行動。
・4月10日 企業としての「Twitter」がX Holdings傘下の「X」という企業と合併されていることが明らかになる。
また、イーロン・マスク氏は「x.com」というドメインを取得済とのことです。
この.comの1文字ドメインは非常に貴重で、2文字.2文字ドメインを巡って-Value Noteでも紹介しましたようにGMOインターネット株式会社はz.comを8億円で取得しています。x.comも同程度かそれ以上の価値があると思われます。
・7月24日 TwitterからXへ名称変更
「Twitter」から「X」へと名称を変更。 青い鳥のロゴも黒を背景とした「X」ロゴへと変わりました。
私も含めて通常のユーザーにとって有料化によりメリットはほぼ何もありません。大量レイオフによる一部機能の更新停止などサービスの低下、ハードウエアーのコストダウンによる運用の安定性がそこなわれていると報告されています。いったいTwitterはどこまで突き進むのか。Twitterの機能のサービスのUPDATEはおろか企業としてもX Holdings傘下に統合されました。
このTwitterの急な方針転換に対してユーザー側から反発の声も挙がっており、代替サービスを模索する動きが広がっています。この流れの中、MastodoやMisskey分散型SNSに注目が集まっています。さらに新たな分散型SNSのBlueskyに光が当たろうとしています。
分散型SNSとは
最近のTwitterのUPDATE状況で一部のユーザーは分散型SNS であるMastodonやMisskeyといった分散型SNSに注目を集めていますが、その中でも最近登場したBlueskyが名乗りを上げました。
Blueskyはひそかに最新技術にアンテナをはっているエンジニア界隈ではすでに数年前からウォッチされ、β版が米AppleのApp Storeから2月に公開されてからは一般のユーザーにも目にとまるようになりました。
BlueskyはTwitterの元CEOのジャック・ドーシー氏が立ち上げた分散型SNSですが、彼は何を目指しているのでしょうか? 分散型SNSとはどういったものでしょうか?
FacebookやTwitterなど、現在の主要SNSは一つのサービス(サーバ)にユーザーが集う仕組みで中央集権型なのに対して、分散型SNSにおいては話題やユーザーに応じたインスタンス(サーバ)が多数存在し、ユーザーは自分の所属するインスタンスを決めて参加する分散型なのです。
ゆえに中央集権型のTwitterは管理者による決定事項が全ユーザーに適用されます。今回のようにユーザーに不利益が生じたとしても、ユーザー側はそれに従うしかありません。分散型SNSでは、ユーザー本位であり自己に主権があります。この分散の仕組みはWeb3.0の特徴のひとつでもあります。
分散型SNSのBlueskyとは
2019年にジャック・ドーシー氏によりBlueskyの構想を発表され、Twitter社の資金で内部プロジェクト(プロジェクト名Bluesky)としてスタートしています。
Bluesky のプロトコルは当初「ADX」を呼ばれ、2022年10月には「Authenticated Transport (AT)Protocol」に改名されています。AT Protocolは大規模な分散型ソーシャルアプリケーションのためのプロトコルです。
ジャック・ドーシー氏はWeb3のさらにその先のWeb5というワードをTwitterでつぶやいています。
先ほども述べたようにWeb3とは、分散型の世界です。ここではWeb5はとりあげませんが、Web5は「真の分散型インターネット」とのことで、彼はいろいろ先の技術を見据えているようです。
Twitterの中央集権化SNSとは違い、MastodonやMisskeyは連合分散型SNSです。それらのSNSは中央集権化ではないにしても、連合配下の各インスタンス内(サーバみたいなもの)では中央集権と同じ構造を内包しています。
中央集権なしで分散、多重化するとデータ保証なし、鍵漏洩救済なし、なりすまし等無法地帯が発生します。
したがって、中央集権と完全分散にはトレードオフが発生することになります。このバランスをとって両立を目指すのがBlueskyです。
より自由で公平なサービスを目指す、Twitterにとって代わると期待されています。
Blueskyの始め方
Bluesky SocialのUIは一番初期のツイッターに酷似しています。以前は招待制でのみ利用可能でしたが、2024年2月6日から誰でも登録可能になりました。
登録方法は下記の通りです。
- Bluesky公式ページにアクセス
- 「新しいアカウントを作成」をクリック
- メールアドレス、パスワード、生年月日を入力
- 国「Japan」を選択、電話番号を入力
- SMSに届いた認証コードを入力
- ハンドルネーム(アカウント名)を選択。
その後、興味がある分野の選択やお勧めアカウントで該当するものを選択。
※スキップも可能です。 - リプライやリポスト、引用などをフィードに流すかを選択
※設定は後からでも可能です - メインになるフィード画面の選択
※スキップも可能です。 - 見たいコンテンツ・見たくないコンテンツの選択
- 登録完了です
以下は2023年3月7日ファーストポストの様子です。
皆さん、テストツイートに青空の写真をアップされていたので、ハロ(太陽の周りに虹色の輪)が現れた空の写真を添付しました。記念すべき3月7日のファーストポストは「Bluesky in Kyoto」です。Bluesky では”ツイートする”を”ポストする”といいます。
ユーザーからみるとUIはTwitterの初期そのものです。基本はTwitterと同じです。
- Post(ポスト)
- Feed(フィード:タイムライン)
- Repost(リポスト)
- Quote Post(引用ポスト)
- Profile(プロファイル)
- Notification(通知)
などシンプルなものです。Post(ポスト)はTwitterのツイートと同じ機能です。
はじめてTwitterでツイートした2009年当時のようでなつかしさを感じます。認証バッジもありません。今後もしかして実装されるかもしれませんが、もし実装するなら、ユーザーの存在、身元証明はグローバルに使えるオープンバッジ方式を組み込めばよいのではないかと思います。
オープンバッジについては下記で紹介しています。
ユーザーアカウントはデフォルトでは、@アカウント名.bsky.socialが付与されますが、AT Protocolでは、ユーザーはドメイン名で識別されます。このドメイン方式では、ユーザーのアカウントとそのデータを保護する暗号化されたURLにマッピングされます。この機能によりアカウントポータビリティーが実現可能となります。
AT Protocolベースのアプリは、現在公式からはiOSしか公開されておらず、ユーザーのドメインアカウントに設定するには、
公式のhttps://staging.bsky.app/から設定します。
筆者は自分の所有ドメインsco.jpでアカウント名を@naeba.sco.jpを設定してみました。
Domain: _atproto.naeba.sco.jp
Type: TXT
Value: did=did:plc:lvjuwua...................
表示された情報に従って自ドメインでDNSの設定を行います。いつものように私はバリュードメインを使っていますので、
Change my handleで指示されたTXTレコードをValue Domainのコンパネから設定します。
設定できたら、Change my handleのVeirfy DNS Recordで認証します。よくあるDNSのTXTレコード認証方式ですね。
これでアカウント名は@naeba.sco.jpとなりました。AT Protocolベースを利用したサーバを自前で立てることができれば、@naeba.sco.jpのデータはすべて引き継ぐことができます。AT Protocolを実装しているシステムであればアカウントポータビリティーが約束されます。他サーバにデータを関係性ごと引き継ぐことができるのです。
最新のバリュードメインでBlueskyのアカウント名を独自ドメインに変更する方法はこちら>>
新しい通信プロトコルであるAT Protocol (Authenticated Transport Protocol)はまだ開発途中でもあり未実装部分もあるようですが、AT Protocolは様々な分野に活用できる可能性ある次世代プロトコルです。
AT ProtocolはGitHub公開されておりそのプロトコルを使ったソーシャルアプリを自作できるため、現在公式からはBluesky SocialのアプリはiOSしか公開されていませんが、エンジニア界隈ではすでにいくつかのアプリが3月にリリースされており、Androidユーザー向けにも「青雲」(非公式)が有志によりリリースされています。
https://play.google.com/store/apps/details?id=io.github.akiomik.seiun
アプリ名:青雲ならAndroidでもいち早くBlueskyを体験できます。
招待コード不要になったBlueskyをぜひ利用してみてください。
最後に
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/26/news122.html
Twitterの前CEOのドーシー氏、「最大の後悔はTwitterが企業になったこと」とツイート
Twitterが企業になったこと=Twitterは強力な中央集権的SNSになってしまい、ユーザー本位ではなくなってしまったということでしょうか。
また、彼は非中央集権化の“プロトコル”を実現したいと2022年8月26日にツイートしています。これはAT Protocolを示しているのでしょうか。
そうであれば、分散型Twitterの再構築へのチャレンジとなると思います。
BlueskyではTwitterなどで導入されている認証マークを提供していません。β版のため未実装かもしれませんが、認証マークをユーザーの存在、信頼性の向上を目指すのであればグローバルに使えるオープンバッジ方式を組み込めば良いでしょう。
Twitterの動向とBlueskyの簡単な紹介を交えて記載しましたが、どのようなSNSなのかをお分かりいただけたと思います。
分散型SNSには既に先行しているMastodonやMisskeyが多くのユーザーが参加しています。
今は音声配信SNSのClubhouse(クラブハウス)のように一挙にBlueskyへユーザーが流れ込んではいませんが、新技術、新サービスに敏感なユーザーはすでに利用されてきています。
Blueskyはこれらの既存のSNSと競争しなければなりませんが、Blueskyは分散型SNSでメインになれるポテンシャルはそのプロトコルから考えると大いにあると思います。
Blueskyは2024年2月6日に招待コードが廃止され誰でもアカウント登録できるようになりました。
招待コードにより登録されたユーザは320万人に達し、1週間弱で130万人の新規ユーザの登録が行われたとのことです。
招待制がなくなり、今後ユーザーも一気に増えることと予想されます。招待コードが不要になったBlueskyをぜひ利用してみてください。
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医療メーカーで新素材研究開発後、電機メーカーで制御器系システム開発を経てIT系マルチエンジニアをしています。またデザイン思考を実践し、アート思考などのいろんな思考方法に興味があります。