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MXレコードとは?書き方や確認方法、設定例についてわかりやすく解説

2022年12月1日インターネット

MXレコードとは?書き方や確認方法、設定例についてわかりやすく解説

MXレコードはDNSレコードの一種で、特定のドメイン宛に届くメールをどのメールサーバーへ送るかを指定する情報です。

MXレコードの設定を誤ってしまうと、電子メールが宛先不明となり、正常に送信できなくなることがあります。

そこで本記事では、MXレコードとは何か、仕組みや書き方、確認方法、設定例についてわかりやすく解説していきます。

大切なメールを確実に届けたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

MXレコードとは?

MXレコード(Mail eXchanger record)は、独自ドメイン宛のメールをどのメールサーバーに配送するかを指定するDNS(Domain Name System)レコードです。

MXレコードが存在しない場合、メールは正しい宛先に届かなくなります。

メールにおける「住所・番地」のような存在で、どのサーバーがメールを受け取るかを示します。

メール送信時の流れ
  1. 送信者がメールを送信(宛先:[email protected]
  2. 送信側サーバーがDNSに「example.comのMXレコードは?」と問い合わせ
  3. DNSが「mail.example.comで受け取ります」と応答
  4. 送信側サーバーがmail.example.comへメールを配送

メールを正確に届けるには、MXレコードを適切に設定することが欠かせません。

MXレコードの書式

MXレコードは「ドメイン名・ホスト名、IN MX(優先度)、メールサーバーホスト名」の順で表記されます。

MXレコードの図解画像

ここからは、MXレコードを構成する以下の要素について、それぞれ解説します。

  • ドメイン名
  • 優先度(プリファレンス値)
  • メールサーバー

ドメイン名

MXレコードを書く際は冒頭に、自身が保有しているドメイン名を入力する必要があります。

ドメインとはインターネット上にある識別子であり、メールアドレスでは「@」より後ろ部分の文字列です。

メールアドレスのユーザー名とドメイン名の説明画像

ドメインとは何か、については以下の記事でも詳しく解説しています。

優先度(プリファレンス値)

MXレコードには優先度を示す数値を記載する必要があり、小さいほどメールサーバーへ優先的に配信されます。

数値は0~65535の範囲内で指定でき、一般的には「1」「10」「20」が設定される例が多く見られます。

例えば、以下の2つのレコードが存在すると仮定します。

aaa.com IN MX 5 mx2.mailserver.com.
aaa.com IN MX 10 mx1.mailserver.com.

この場合、優先度を示す数値が小さい「aaa.com IN MX 5 mx2.mailserver.com.」へ通常メールが送信される仕組みです。

しかし、メール配送の過程で何らかの不具合が生じ、「aaa.com IN MX 5 mx2.mailserver.com.」へ配信できない場合は、数値の高い「aaa.com IN MX 10 mx1.mailserver.com.」へ配送処理が実施されます。

また、同じ優先度のMXレコードが複数登録されていると、ランダムに配信先が選ばれるため、受信サーバーの負荷分散にもなります。

優先度まとめ
  • 小さい数値 = 優先的に使われる
  • 大きい数値 = 予備・バックアップ用
  • 同じ数値 = 負荷分散

メールサーバー

使用するメールサーバーのホスト名を入力します。使うメールサービスによって設定方法が違います。公式サイトのマニュアルやヘルプページで確認しておきましょう。

MXレコードで指定するメールサーバーは、先にAレコードで登録しておく必要があります。

AレコードとMXレコードのイメージ
  • Aレコード=サーバーの「住所録」に登録
  • MXレコード = 住所録に載っているサーバーを「メール担当」に指定

また、よくあるパターンとして、ホームページとメールで違う会社のサービスを使うことができます。

▼具体例:WordPress(ホームページ)+ Google Workspace(メール)

  • ホームページ用の設定
    example.com → WordPressのサーバーを指定(Aレコード)
  • メール用の設定
    example.com → Googleのメールサーバーを指定(MXレコード)

初めて設定する場合は、Gmail(Google Workspace)やMicrosoft 365などの外部メールサービスを使うのがおすすめです。サーバー管理の手間が省けて、設定も簡単です。

Google Workspaceとは何か、できることや使い方については、以下の記事で詳しく紹介しています。

MXレコードの役割と仕組み

MXレコードはメールの送受信に使用されますが、どのような仕組みであるかをイメージできない人も多いのではないでしょうか?

ここからメールの送受信時のMXレコードの役割と仕組みについて、受信者側・送信者側に分けて詳しく解説します。

MXレコードの仕組みを説明した図解画像

受信者側MXレコードの役割

受信者側のMXレコードに基づき、メールは次の手順で処理されます。

メールが届くまでの流れ(MXレコードの働き)
  1. メールクライアントから送信が行われる
  2. 送信側のメールサーバーが受信側ドメインのDNSに問い合わせる
  3. DNSサーバーが設定済みのMXレコードを参照し、接続先を確認する(名前解決)
  4. 送信者側が優先度の高いサーバーへ接続を行う
  5. 受信者側のサーバーがメールを受け取る

この流れにより、メールは宛先に届けられます。

MXレコードが設定されていないと、メールの配送に失敗してしまいます。

具体的には、DNSサーバーが「どこに送ればいいかわからない」という状態になり、メールを正しい宛先に届けることができません。

その結果、メールの配送が失敗し、送信者には「メールを配信できませんでした」や「受信サーバーが見つかりません」といったエラーメールが届きます。

受信者側MXレコードのポイント
  • MXレコードは「メールの配送先を教える道しるべ」
  • DNSサーバーがMXレコードを見て、受信サーバーを教える
  • MXレコードがないとメールは届かない
  • 優先度の高いサーバーから順番に接続を試みる

送信者側MXレコードの役割

メールを送信する際、送信元ドメインにもMXレコードを設定しておくことが重要です。MXレコードは本来、受信先を指定するための仕組みですが、実はセキュリティの観点から送信元の正当性を示す役割も担っています

受信側のメールサーバーは、メールを受け取ると「このメールは本物か?なりすましではないか?」というセキュリティチェックを行います。このチェックのことを送信元認証といいます。

セキュリティチェックの流れ
  1. 受信側メールサーバーがメールを受け取る
  2. メールのヘッダ(送信元情報)を確認する
  3. 送信元ドメインのDNSに問い合わせを行う
  4. DNSサーバーが送信元のMXレコードの有無を確認する(送信元認証)
  5. MXレコードがあれば正規メールと判断、なければ疑わしいと判断される

送信元ドメインにMXレコードが登録されていない場合、送信したメールが迷惑メールと判断され、迷惑メールフォルダに振り分けられたり、ブロックされる恐れがあります。

メールを確実に届けるには、受信側の設定に加え、送信側のドメインにもMXレコードを適切に設定しておくことが欠かせません。

送信者側MXレコードのポイント
  • 受信側サーバーは「なりすまし防止」のためセキュリティチェックを行う
  • チェックの一環として、送信元ドメインのMXレコードを確認する
  • 送信元にMXレコードがないと「なりすましの可能性」と判断されやすい
  • スパム扱いされないために、送信元ドメインにもMXレコード設定が必須

MXレコードの設定例

MXレコードの設定例としては、以下のような形式が挙げられます。

aaa.com IN MX 5 mx2.mailserver.com.
xyz.com IN MX 10 mail.example.com.
ドメイン名レコードタイプ優先度メールサーバーのホスト名
aaa.comIN MX5mx2.mailserver.com.
xyz.comIN MX10mail.example.com.
各項目の説明

上記のMXレコードの設定例は、次のように読み解けます。

  • aaa.com:
    「@aaa.com 宛のメールは、優先度5で mx2.mailserver.com に対応するメールサーバーへ送信されます」
  • xyz.com:
    「@xyz.com 宛のメールは、優先度10で mail.example.com に対応するメールサーバーへ送信されます」

これからMXレコードを設定する場合は、上記の例を参考に以下の形式で記述します。

実際に設定するときのポイント
[ドメイン名] IN MX [優先度] [メールサーバーのホスト名].

注意: メールサーバーのホスト名の最後には「.」(ドット)を付けるのが一般的です。

MXレコードの設定方法

MXレコードの設定方法については、当社が提供しているバリュードメインで解説します。

MXレコードの設定方法
  1. Value Domainのマイページへログインし「ドメイン」>「ドメインの設定操作」の順にクリック
  2. MXレコードを追加したいドメインの欄にある「DNS/URL」をクリック
  3. テキストエリアにAレコード、およびMXレコードを入力
  4. 画面下部にある「保存」ボタンをクリックすれば完了

MXレコードを始めとしたDNSレコードの設定方法については、以下を参考にしてみてください。

【参考】ダイナミックDNS機能|Value Domain

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MXレコードの確認方法2つ

ドメインにMXレコードが適切に設定されているか確認する方法は、以下の2つがあります。

MXレコードの確認方法2つ
  1. コマンドを実行する
  2. 外部のWebサイトを利用する

ここから、OSごとのコマンドや外部のWebサービスについて詳しく解説していきます。

Windowsの場合:nslookupコマンド

Windows環境でMXレコードを確認するには、nslookupコマンドを使用します。

nslookupコマンドとは、DNS情報を確認するためのコマンドツールです。

nslookupコマンドでMXレコードを確認する手順
  1. Windowsのスタートメニューで「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を起動する
  2. コマンドプロンプトの画面で nslookup と入力し、Enterキーを押す
  3. 続いて set type=mx と入力し、Enterキーを押す
  4. 調べたいドメイン(例:google.com)を入力し、Enterキーを押す
  5. そのドメインに設定されているMXレコードが表示される

Linux、およびMacの場合:digコマンド

LinuxやMacでMXレコードを確認するには、digコマンドを利用するのが一般的です。

digはDNS関連の詳細を確認できる強力ツールです。

digコマンドでMXレコードを確認する手順
  1. Linux、またはMacのOS上で「ターミナル」アプリを開く
  2. dig MX ドメイン名 と入力し、Enterキーを押す
  3. 結果の「ANSWER SECTION」の項目に、MXレコードの情報が表示される

digコマンドはnslookupよりも多くの情報を返します。ただし、MXレコードの確認が目的であれば、ANSWER SECTIONだけを確認すれば十分です。

DNS設定を確認できるサイト「CMAN DNSチェック」

OSのコマンドを実行せずにMXレコードを確認する場合は、「CMAN DNSチェック」を利用すると便利です。

「CMAN DNSチェック」は、オンライン上でDNSレコードを簡単に調べられる無料のWebサービスです。

CMAN DNSチェックの利用手順
  1. CMAN DNSチェックの公式サイトにアクセス
  2. 確認したいドメイン名を入力
    CMAN DNSチェックの画面
  3. 「オプション(任意)」から「MX : メール交換」を選択
    CMAN DNSチェックの画面
  4. 「nslookup実行」、または「dig実行」をクリック
    CMAN DNSチェックの画面

nslookup や dig といったコマンドラインツールを使わずにMXレコードを確認したい方は、このサービスを利用すると便利です。

MXレコードに関するQ&A

MXレコードに関する、よくある疑問は以下のとおりです。

MXレコードに関するQ&A
  • 複数のMXレコードに優先度を付ける方法は?
  • MXレコードとAレコードの違いは?
  • MXレコードがない場合はどうすればいい?
  • MXレコードをサブドメインに設定する方法は?

ここから、各疑問について1つずつ詳しく解説します。

複数のMXレコードに優先度を付ける方法は?

複数のMXレコードに優先度を付けるには、それぞれに異なる数値を割り当てなければなりません。

この数値は「プリファレンス値」と呼ばれ、小さいほど優先度が高くなります。

仮に「example.com」ドメインで2つのメールサーバーを活用する場合、次のように設定します。

example.com. IN MX 10 mail.example.com.
example.com. IN MX 20 backup.example.com.

この設定では、まず優先順位の高い(数値が小さい)mail.example.com に配送が行われます。

mail.example.com が応答しないときは、次に順位の高い backup.example.com へメールが送られます。

この仕組みにより、主サーバーが停止してもメールは失われず、予備サーバーで確実に受信できます。

MXレコードとAレコードの違いは?

MXレコードとAレコードは、いずれもDNSレコードですが、役割は大きく異なります。

MXレコードAレコード
役割メール配送先の指定ドメイン名とIPアドレスの紐付け
対象メールサーバーWebサーバー
目的メールを届けるWebサイトを表示させる
形式ホスト名(例:mail.example.com)IPv4アドレス(例:93.184.216.34)
優先度設定可能設定不可
MXレコードとAレコードの違いを説明した図解画像

簡潔に表すと、MXレコードは「メールの届け先」を指定し、Aレコードは「Webサイトの所在(IPアドレス)」を指定します。

名称は似ていますが、両者はメールとWebサイトの異なる領域を指定する設定です。

Aレコードの説明や設定方法、CNAMEとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

MXレコードがない場合はどうすればいい?

MXレコードが存在しない場合、メールの送受信ができなくなります。

メールの送受信を確保するには、必ずMXレコードを設定しなければなりません。

MXレコードが設定されていないと次の問題が発生します。

  • メールの受信ができない
  • メール送信がスパムと見なされる

独自ドメインのメールアドレスで送受信するには、MXレコードの設定が不可欠です。

バリュードメインを例にしたMXレコードの設定方法はこちら>>

MXレコードをサブドメインに設定する方法は?

サブドメインへのMXレコードの設定は、親ドメイン(例:example.com)の場合と基本的に同じです。

DNSレコードの管理画面で、ホスト名をサブドメインに指定します。

ドメインexample.com
サブドメインmail.example.com
メールサービスGoogle Workspace

この例では、MXレコードは以下のように設定されます。

タイプホスト名優先度値(宛先)
MXmail1ASPMX.L.GOOGLE.COM.
MXmail5ALT1.ASPMX.L.GOOGLE.COM.
MXmail5ALT2.ASPMX.L.GOOGLE.COM.
MXmail10ALT3.ASPMX.L.GOOGLE.COM.
MXmail10ALT4.ASPMX.L.GOOGLE.COM.

その結果、@mail.example.com 宛のアドレスに送られたメールは、Google Workspaceのメールサーバーへ配送されます。

まとめ:MXレコードとはメールを正しく送るために重要な設定

ここまで、MXレコードの概要、記述方法、確認手順、設定例について解説してきました。

MXレコードは、ドメイン宛に送られるメールをどのメールサーバーに配送するかを指定するDNSレコードです。

メールを確実に届けるためには、MXレコードは欠かせない仕組みです。

もし設定を誤ると、受信側ではメールがサーバーに届かず、送信側では宛先サーバーから信頼できない送信元と誤認され、結果としてブロックされる恐れがあります。

確実な送受信を実現するには、利用しているドメインのMXレコードが正しく設定されているかを確認しておくことが重要です。

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この記事を監修した人
中村圭佑
中村 圭佑

GMOデジロック ドメイン管理担当
ドメイン管理7年目。ドメインとDNSオタクがいつの間にか営業管理全般の担当に。
オタク趣味全般を網羅してます。

Posted by admin-dev


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