話題騒然のChatGPTとは?面白い事例を聞いてみた

2023年3月20日User Note

ChatGPTとは

人工知能チャットボットとして、幅広い分野の質問に詳細な回答をだすChatGPTが一躍有名となっています。
筆者も当初はアカウントだけ作って放置していましたが、いろんなところでChatGPTの話が耳に入ってきています。インターネット上のSNS界隈だけではなく、生産現場に携わるエンジニアの間でもリアルで「どうなのChatGPTって」という話から始まります。そんなChatGPTにいろいろ聞いてみました。

ChatGPTとは

ChatGPTは米オープンAI(OpenAI)が2022年11月に公開した人工知能チャットボット(AIチャットボット)です。様々なジャンルやシーンの問に対して的確な回答を自然言語(英語や日本語など)で返されることで話題となった。
対話はチャット形式の画面で行います。またAPIも公開され、いろんなWEBサービスに実装されてきています。

幅広い分野の質問に詳細な回答を出すChatGPTですが間違っていることも、さも正しい文面で返すことも多々あります。そのあたりはまだ人の判断が必要です。
ChatGPTを為したい方は、https://openai.com/blog/chatgptからアカウントを作成して[Try ChatGPT]から利用できます。登録方法はインターネットで紹介記事が多数上がっているのでそちらを参考にしてください。

ChatGPTの使い方【面白い事例で紹介】

次の5つのテーマでChatGPTと会話を行ってみます。

  • 短編小説を作る

    SF短編小説
  • 化学実験手順の質問

    ニトログリセリン吸着率
  • プログラムコードの生成

    タッパーの自己言及式
  • 小学生の算数の計算はできるか

    大学生でも間違う算数
  • 心情をくみ取れるか

    ハートのエースの意味

次章では各テーマごとにチャットのやりとりを記載します。ChatGPTから有効な回答、間違った回答、ユーザに判断を委ねる回答を得られることが分かります。
が質問者、がChatGPTの回答です。)

ChatGPTで短編小説を作る

SF短編小説を作ってみましょう。結果を比較したいので著者が過去に2000文字程度のSF短編小説を書いたタイトルから、どのようなものが生成されるか見てみます。
参考:https://el.jibun.atmarkit.co.jp/nae2sho/2022/07/post_8.html

 Q『ヒトとネコのコミュニケーション 第三の眼獲得』アイリとミーの日常の短編小説を書いてください
 

576文字の短編です。母親が小さい子供にお話を即興で作って聞かせているような感じの文章です。
児童文学風へ誘導できそうですがSF風の物語にしたいのでここからさらに、以下の指示を出します。

 Q それでは、今の短編小説をSF風に変えてください。
 

少しアカデミック風に改変されました。筆者の創作ではアイリは少女でミーがネコの設定ですが、ChatGPTではアイリがスマートなネコでミーが女性に設定されています。
ChatGPTがどういう判断基準で名前から人間と動物に振り分けたかはブラックボックスですが、意図通り女性とネコに割り当てられています。
さらに作中に出てきた第三の眼というキーワードに以下の追加情報を与えてみます。

 Q できた短編小説を第三の眼の発生進化はブルーライトと感覚受容体の変異が関係しています。これを含めてもう一度書き直してください。
 

生成された作中に“新しい装置が開発”されたとあるので、その名前を問うてみます。
 
 Q 新しい装置に名前を付けてください。
 

ChatGPTはその開発された装置名に「ニューロリンク」という名前を付けたようです。ずっと会話できますね。
茶目っ気手を出して“ネコ”をもじって「ニャーロリンク」にしたらどうかと提案風質問を投げてみます。

 Q ネコはニャーと泣きます。ニューロリンクをニャーロリンクという名前にしたらうけるでしょうか?
 
 
どちらのネーミングも褒める回答が返ってきました。立場によって両方を肯定する回答で、決定権はユーザに委ねています。そこでさらに、追加の質問を投げます。

 Q それでは、ニューロリンクとニャーロリンクのどちらの概念にも通じる新しい名前を作ってください。
 

「フェリリンク」という名が提案されました。この新規ワードは自分では創出できない名称です。文字の創作系において十分な威力を発揮します。
実際に海外では英文でたくさんの創作系小説が作られてアップされています。
創作する文を自分の思いの方向に誘導するような質問を投げかけていけば、十分な文が作れるのはないかと思います。
正直ここまでAIチャットが進化してくるとは予想できませんでした。

ChatGPTに化学実験手順の質問

インターネットで検索というのもなかった昔は本、雑誌の文献、先人から教わるか自分で一から考察し構築するしかありませんでした。インターネットで検索ができるようになっても複数のキーワードから検索して出てきた結果一覧からさらに絞り込むということしかできませんでしたが、いまや自然な日本語文章で答えが返ってきます。

 Q ニトログリセリンを吸着したシートの濃度を測定する方法を教えてください。
 

まさしく筆者が新入社員時代にニトログリセリン注射液の低吸着率チューブ素材を開発する時に、素材の吸着率を調べる実験手順概要が返ってきました。また、当時一番困ったのが、実験後に残った溶解液の始末のことです。

 Q 実験後のニトログリセリンを含んだ有機溶媒を廃棄するにはどうしたらよいですか?
 

廃棄物処理業者に問い合わせなさいという指示です。実際そうでした。
AIチャットbotではないですが、新薬や新材料の開発にはいまやAI、シミュレーションは欠かせません。
これらが将来統合され、もっと進化するとSFでよく出てくる人工知能に到達する可能性が大いに期待できます。

ChatGPTでプログラムコードの生成

多くの方がプログラムコードを書く時に、ChatGPTを利用して生成されたコードを補助的に利用する場合は非常に有効だと聞いています。

ここでは、何の役にも立ちませんが「タッパーの自己言及式」をperl言語で生成してみることにします。

タッパーの自己言及式は、ジェフ・タッパー (Jeff Tupper) によって考案された不等式であり、特定の条件の下で式を満たす二つの数の組を二次元のグラフに描くと不等式そのものの形となる。 2001年にコンピュータグラフィックスを扱う国際会議SIGGRAPHで発表された。不等式は次のように定義される。

タッパーの自己言及式 wiki
  • 不等式 1/2 < floor(mod(floor(y/17)2^(-17*floor(x)-mod(floor(y),17)),2)) とする
  • kは543桁の下記の値とする
  • 0≦ x ≦106 , k ≦ y ≦ k+17

以上の条件でグラフを書くと上述の図のように、自分自身の不等式そのもの形になるというものです。
これをperl言語でコードを生成させるのですが、ここで問題点が二つあります。
一つ目は、不等式を条件範囲でグラフにしたいこと。二つ目は数式が決まっているので簡単なコードになるはずですがやっかいなことに543桁もの大きな数値を扱う必要があるということです。
問題を簡単にするために、x、yは整数にして結果をプロットすることにします。では始めて見ましょう。
 
指示してなくても、“ピクセルが白色か黒色かを判定”することが返ってきています。
グラフを書きたいという問題その1は理解できています。

 

kの値を要求されたので、543桁の定数を投入します。
 

534桁の定数文字列を問題なく取り込んでくれました。ここで、perl言語でコードを生成させてみましょう。
 Q プログラムをperlで書いてください。
 

コード部分はコード専用表示枠に表示されます。コードは合っています。ただしPerlの数値の有効桁数は15~16桁くらいでこのプログラムを実行すると“Range iterator outside integer range”(整数範囲外)エラーが発生します。少しは期待していたのですがだめでした。

Q x,y,kは500桁以上の数字を扱います。use Math::BigInt;を使って生成したコードを修正してください。
とさらに問い合わせましたが、use Math::BigInt;を宣言して再度コードが出力されましたがエラーしました。
大きな数値のプログラム言語特性による扱いがうまくいかず、何度か思考しましたが続行を断念しました。
ただしロジックは参考になります。

参考に著者の回答をここに載せておきます。式を分解整理して実装します。x、y、a、b、cは
暗黙でMath::BigIntの型に内部変換されます。

#!/bin/perl
use Math::BigInt;
my $k = Math::BigInt->new("960939379918958884971672962127852754715004339660129306651505519271702802395266424689642842174350718121267153782770623355993237280874144307891325963941337723487857735749823926629715517173716995165232890538221612403238855866184013235585136048828693337902491454229288667081096184496091705183454067827731551705405381627380967602565625016981482083418783163849115590225610003652351370343874461848378737238198224849863465033159410054974700593138339226497249461751545728366702369745461014655997933798537483143786841806593422227898388722980000748404719");
for($y = $k; $y < $k + 17 ; $y++){
        for($x = 106 ; $x >= 0 ; $x--){
                $a = $y / 17;
                $b =  2 ** ((17 * $x + ($y % 17)));
                $c = ( $a / $b) % 2;
                if($c == 0){
                        print " ";
                }else{
                        print "*";
                }
        }
        print "\n";
}

結果:

ChatGPTは小学生の算数の計算はできるか

もっと簡単な計算を行ってみましょう。「大学生でも間違える計算「40-16÷4÷2」の答えは?」という問いが
https://gendai.media/articles/-/83690の記事にあります。さすがにChatGPT間違えるはずがないと思いきや。

 Q 40 - 16 / 4 /3を計算の過程も教えて下さい。
 
計算過程はあっているのに答えは間違っています。どうしてこのような単純な間違いが起きるのかわかりません。
会計計算や科学計算には使わない方がいいでしょう。
16÷4÷2は2であることを教えると再計算され正しい値が返答されます。計算は失敗していますが、会話は正しく理解できているようです。

ChatGPTは心情をくみ取れるか

恋愛小説はChatGPTの学習データに入っているでしょうか? ChatGPTは少年の頃の心情をくみ取ってくれるでしょうか?
著者が少年時代の日常の一コマを投入してみましょう。当時の彼女の気持ちは今もって不明ですが、結果はどういう内容になったでしょうか。

当時の状況と質問を460文字投げてみます。

Q もう40数年以上前の話で確かめられません。どうすればいいですか?

未来に向けてすすめとのこと。誰にも相談できないことが相談できる。疑似だとしても、カウンセリング受けているような感覚に陥ります。自分自身に解決策を案に提示する占いにも通じるかもしれません。

ChatGPTを使ってみて

さて、いままでの事例どうでしたでしょうか?
創作系や経験による結果応答は応答性があり、すこぶる相性が良いです。正確性を要する事象はまだまだ人の判断を要します。誤情報を含んだ文章を自動生成してしまう欠点もあり、この欠点の解消方法は今後の課題として残り続けます。

最後に

ChatGPTはマイクロソフトがBingの検索に組み込まれて騒然となりました。会話型AIを検索エンジンに組み込もうとしているのはマイクロソフトだけでなくグーグル、中国のバイドゥも実装しようと躍起になっています。
検索結果、検索応答文章が今までの無機質な結果一覧ではなくなってくるのです。検索に埋め込まれる広告も今までとは違った手法が必用になってくるかもしれません。
なにしろ、ユーザが求めている答えそのものがAIチャットで提示されるのですから、広告すら見ない可能も出てきます。
今後の検索エンジンの覇権争いが熾烈となってくるでしょう。

さらにChatGPT APIが発表され、いろんなところに組み込まれる様相になってきています。うまくいけばChatGPT APIサービス自体が膨大な利益を出してくれるはずです。

例えば、いつもお世話になっている校正サイト
https://pruv.jp/
3/3 AI校正 Ver.3(ChatGPTによるAI校正機能)をリリースされています。

GMOインターネットグループが「ChatGPT」の業務活用を開始
https://www.gmo.jp/news/article/8280/

AIとの会話が当たり前の時代がやってきます。2023年がAIチャットの加速度的利用の起点になるでしょう。

ユーザーノートの記事は、弊社サービスをご利用のお客様に執筆いただいております。

執筆者:苗場 翔様

医療メーカーで新素材研究開発後、電機メーカーで制御器系システム開発を経てIT系マルチエンジニアをしています。またデザイン思考を実践し、アート思考などのいろんな思考方法に興味があります。

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Posted by admin-dev


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